みんな釣られてます?
「和歌山のエロ公務員、仕事中にアダルトサイト17万回閲覧」事件です‐事件ニュース:イザ!
和歌山県紀の川市は1日、仕事中に公用パソコンでインターネットのアダルトサイトを頻繁に閲覧していた同市課長補佐(57)を停職3カ月の懲戒処分にし、係長に降任したと発表した。課長補佐は、アダルトビデオの通信販売を皮切りに昨年6月から今年2月にかけ、計約78万回アクセス。最多は昨年7月で、なんと17万7686回! この月は1分間に約20回という驚異的なペースで閲覧していた。
すごいですね。この公務員。この性欲をもっと人の役に立つ何かに振り向けられないのか。
・・・なんて、思う方が大半だと思われますが、この報道にはカラクリがあるのです。
というか、どう見ても釣りでしかありません。
このカラクリについては既に色々なところで言及されていますが、その中からひとつ紹介しておきます。
成人サイト閲覧を口実にみせしめ懲戒? 市課長補佐を停職 和歌山:イザ!
恐らくファイヤーウォールのログか何かから、httpのリクエストを拾って「17万回」という数字を割り出したのだ思います。ホームページの1ページには非常に多くの部品が含まれています。部品一つ一つに対してリクエストが出ますので、1ページ見るだけで、100近いリクエストが出たりします。少なく見積もって20リクエトで1ページとするなら、19時間÷20=0.95時間。約1時間ですね。
まあ、エロサイトを見ていた事は事実でしょう。ただし、報道されている回数というのはあくまで、ブラウザがサーバに対して送っているリクエストの回数だと思われ、一般的なエロサイトでは、山ほど広告画像が表示されるのが普通ですので、上で紹介した20リクエストで1ページというのは、非常に少ない見積にはなっています。
大抵のエロサイトには、大量に新着サイトの紹介やアクセスランキングがあり、それぞれに小さなサムネイルとういう画像がついているので、1ページを表示するだけで100リクエストくらいは普通に発生します。
では、元の記事を書いた記者はそんな事もしらないのか。けしからん!と憤るのもいいんですが、その前に「食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉」と「「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉」の2冊に目を通しましょう。
つまり、記者は不勉強なわけじゃないんです。「あえて」大袈裟な数字で目を引こうとしているのです。
上記の本で書かれている事ですが、「1勝2分」という成績のチームを宣伝するために、「3戦無敗」と言い換えたり、おなじみの「タウリン1mg」を、「タウリン1000mg」と言い換えたりするのと同じ効果を狙っているのです。
とはいえ、今回のはどう見ても知識の無い人以外にはわからない表現だったり、正確な情報を伝えるのがメディアの使命だと考えると、グレーを通り越して限りなく黒に近い数字の使い方ではありますが・・・
さらに、あえて大袈裟に表現した記事には、続きがあります。
「和歌山のエロ公務員、仕事中にアダルトサイト17万回閲覧」事件です‐事件ニュース:イザ!
水量豊かな和歌山・紀ノ川沿いに広がり、平成17年の市町村合併で誕生した紀の川市。人口約7万人の静かな町に、エロサイト目当ての「カチカチッ」というクリック音が、1分間に約20回も鳴り響いていた…。
「3秒に1回ってどんだけの勢いでエロサイトを見てるんだよ!」と思わせるのが記者の狙いだと思いますが、男性諸君は経験からそんな勢いでエロサイトを見れない事を知っています(笑)
しかも、この懲戒された方は57歳というおじさん。
無理でしょ。このペースで本当にエロサイト見ていたら3日で倒れるって。
記者はこのおじさんに恨みでもあるのかと思うくらい事実を捻じ曲げ、読者にエロでスケベで変態なイメージを植え付けようとしています。
まあ、この国の報道にはもはや何も期待はしてないんだけどね。
最近の硫化水素でも見られる自殺報道のありかたとか、犯罪被害者の遺族に対する心無い取材とか、報道機関といえども、せめて「真実を伝えるのが使命」みたいな綺麗事を言うのをやめて、視聴率/ページビューが命です、って言ってくれればいいのに、と思う今日この頃です。
そうそう。別に職場でエロサイト見るのを容認するわけじゃありませんよ。みなさん真面目に仕事しましょう!